恥ずかしながら戻ってまいりましたのよ。てへ。
by raphie
S |
M |
T |
W |
T |
F |
S |
|
|
|
|
|
1
|
2
|
3
|
4
|
5
|
6
|
7
|
8
|
9
|
10
|
11
|
12
|
13
|
14
|
15
|
16
|
17
|
18
|
19
|
20
|
21
|
22
|
23
|
24
|
25
|
26
|
27
|
28
|
29
|
30
|
31
|
ADfreeRSS
|
|
2004年 10月 22日
急に秋が深まって
薄いコートでは心もとなくて
小走りに道を急いだ
ひとりぼっちで見上げた
西の果てを金色に染めた夕空は
次第に深い藍をひいて
やがて青く光る星のすみかになる
足を止めると
小さな歩道橋の脇で
まだコスモスが咲いている
金色の空の反対側には
こんな色も混ざっていた
「こんばんわ」
町が黄昏色にそまるなか
歩道橋を降りてきた人は
両手にいっぱいの
大きな花束を抱えていた
空とコスモスの間に
ふいに現れたその人は
幸せそうな笑顔と
心地よい挨拶と
懐かしい香りを残して
通り過ぎた
あなたと同じ香りだった
あの時あなたに会えたら
あなたの声を聞けたら
そして
あなたの大好きな夕焼けの中で
「ごめんね」と言えたら
一度でも
素直な言葉を
伝えられたら
あれから私は遠い町に来て
あの日と同じ季節を迎えた
あの日と同じコートを着て
小走りに道を急ぐ
見上げると
空は西の果てを金色に染め上げた
あの日のような見事な夕映え
13時間前
あなたはどんな夕焼けを見たのだろうか
その時あなたを包んだ風は
ここまで届いたのだろうか
そしてあの花束の人は
今日もあたたかな夜を迎えただろうか
遠い町をつなぐ空の向こうは
もうすぐ週末の朝
ポケットの中で鍵を探りながら
魔法使いの呪文のように
むかし記憶の底にしまった
あなたの電話番号を
繰り返し 繰り返し
つぶやいてみる
忘れられない空の色は
凛と冴えた秋の空気よりも
誰かを想う素直な心に
似合いそうな気がした
-----------
ひっそりトラバをつないでみました。
最初に出会った美しい景色と
その景色を見つけて
その景色の中にいた人たちを
どうか見つけてくださいね。
|